【音楽イベントと、アウトドアイベントの違いについて】

先日のイベントで、困った出来事があった。
しかし、なんだか似たような履き違いが、たまに見られるので、音楽業界の方にも、アウトドア業界の方にも伝えたいこととして、責任を持って書いてみたいと思います。現在も、音楽フェスとアウトドアイベント(キャンプフェス)の両方に出ているミュージシャンとして。

かなりの長文になりますので、お時間あるときにご一読ください。

<出来事>
焚火クラブ、というイベントに出演させてもらいました。僕らの本番が19時過ぎに終了して、ステージから降り、機材を撤収していると、ステージ裏に、他のアーティスト(仮:Aさん)のマネージャーの方(仮:Bさん)が現れる(Aさんはその場にはいなくて、Bさんだけ)。

この日の夜に、本編のステージコンテンツが20:00に終了した後、宿泊者向けに21:00から焚火を囲んで生音で複数人(この日に出演したミュージシャン4人と翌日に出演するAさん)でライブをする、という企画をイベント主催者から振られていた。

その焚火ライブの流れについて、Bさんが確認したいとのこと。「〇〇のマネージャーですけど、ちょっといいですか?」と缶ビール片手にやってきた。こちらはライブが終わった直後なので、風邪を引かぬよう、早く着替えたかったのですが、「ちょっと」ということで、そのまま話を聞くことに。イベント主催者も同席。
B「焚火ライブなんですが、アーティストが焚火に加わって、1人、2曲ずつ歌うって聞いたんですが、それよりもみんなで一気に出てきて、1曲ずつ回した方が良くないですか?」と。

演出方法としてはそれもアリで、言ってることは良くわかるけど、言い方、伝えるタイミング、ともに全然良くなくて、音楽業界のわるいところがもろに出てるなあと思ってしまった(苦笑)音楽業界というのは、自分が担当するアーティストや音楽を売ることで組織が成立しているので、そのアーティストがよく見えるように、決して不利にならないように、守って戦うのが当たり前。しかしその考え方だと、アウトドアイベントでは、うまくはまらないことがある。(なぜはまらないかはあとで丁寧に書きます)

ちなみに、自分もバンドでデビューして、8年間、マネージメントがあり、レーベルがあり、イベンターにサポートしていただき、という状況からの、現在、独立(自身のLIFE CARAVAN MUSICが窓口)して5年なので、Bさんの主張もよくわかる。見え方、大事。

宮「言ってることは良く分かりますが、そもそも、僕が主催ではないんですよ。主催者に確認してください」

そう、つまり僕が主催ではない。
主催者から事前に、焚火を囲んで歌って欲しい、と言われ、アウトドアイベントならではのザックリした相談だったので、承諾しつつも、現場を見てみないとどうにもわからないので、進め方については当日に決めることになっていた。

主催者「焚火を囲んで、歌ってもらえたらと思ってるので、流れはみなさんでやりやすいように決めてもらいたいです」

本当にザックリ(笑)

B「宮さん、どう思いますか?」

宮「焚火の配置と、どれくらい人が集まるか、などで変わってくるので、その場を見てから判断しましょうか」

B「だったら、やはりみんなで最初に出て、1人1曲ずつ、、、(同じ話)」

間を割愛してますが、大まかにこんな流れ。
同じ話をしだした時点で、一回で通じないタイプなのか、または、焚火の想像ができてないのか、何なんだろうかと思いながら、彼が左手に持っている缶ビールを見ていたのですが、会場には売ってない麒麟でした。まだ会場は通常営業中、もしもらったビールでも、ノンアルでも、中身は違ったとしても、これはアウト。

宮「話は分かりますし、アーティストの見え方を気にされてるのも良くわかるのですが、どういう進め方がいいか、現場を見てみないとわからないので、もうやめませんか?」

B「うーーーーん、いやー、でもやっぱり、1人1曲ずつで、、、」と同じ話をしながら、先ほどよりも今度は下を向いて考え込んでいる。

ここまでで約10分間。
体に寒気が走った。この日は、東京に初雪が降ると予想された極寒の夜19時。これは本当に風邪をひくパターン。

宮「あなたが同じ話をして、考え込んでる時間には付き合えないので、これで終わりにしましょう。」と肩をたたいて、みなうなづいて終了。Bさんは不服そうに退散。

その場で見ていたうちのメンバーや全てのスタッフが「あれは無い」と大クレーム。
そして主催の方からは「なんで、アーティストはこの場にこないのでしょうか」と。

僕としてもあれは無いし、同じ音楽人として恥ずかしいくらいにやって欲しくないことですが、いやーーー、これね、言うタイミングとか角度とかは完全に間違ってるけど、内容とか1人で来るのとかは、普通なんですよ。この時点で、音楽業界の人間とアウトドア業界の人間と、お互いの理解が全くたりてないんだなーとわかった。しかしその場で全部説明するのは無理なので、とにかくすぐ着替えて撤収。

その30分後、駐車場で機材を積み込みんでいると、
Bさんがやってきて「先ほどはすみませんでした」と謝りに来てくれました。
わるぎがないのは分かったけど、明らかに良くないことなので、理解してほしい点だけ伝えました。

もし自社のアーティストが、本番直後に、他のマネージャーに捕まって、演出方法について長々と相談されたら、どう思うのか?

そもそも、あなたの名前はなんでしょう?
最初に名前を名乗りましょう。などなど(基礎の基礎すぎる)。

ここでも音楽業界のこととアウトドアイベントの違いについて伝えようかと思ったのですが、短時間では無理なので、終了。

そして堅い握手。がんばってまいりましょうと!!!(これは本気!)

さて、焚火ライブ。
明日の出演のAさん以外のメンバーは、本日、自分らの出演の合間に、夜の焚火ライブをどうするか、顔を合わせる度、何度か話しておりました。なんせ不確定要素が多いので、事故らないようにビシッとやろうと(苦笑)そこで、進行役が1人いた方が安全だろう、と言うことになり、わたくし宮 武弘がやることに。しかしそれ以外の部分は、ほんと状況を見てみないとわからないので、後ほど決めることに。

と言うわけで、開始時間よりも、自然と早めに集まって、現場を見て確認。後から自分たちが登場するのではなく、お客さんがどこに座ったらいいのか決めやすいように、最初に自分たちが横並びに座っている状況をスタートとしました(つまり、最初に主催者と話して仮で上がっていた焚火を囲んで点在する案でもなく、Bさんが推していた、後からみんなで登場する案でもなく。やはり現場を見てみないとベターな回答は出てこないし、みんなで状況を見て納得して決めると、その後の流れもスムーズなんです)。

座り始めていると、Aさんが開始時間に登場。
そんなにギリギリでは何も話せないなあと思いながらも、全員を個別に知ってるのは自分だけだったので、各自にAさんを紹介。しかし、Aさん、ちょいと酔っ払った状態で残念。いや、飲んでてもいいんですが、その前に、会場ついたら挨拶しとく方が絶対安全。

ライブは、昼から相談していたメンバーの臨機応変な協力と選曲にも助けられ、いい感じに進んだと思うんですが、やはりAさんがその場に馴染めてなかったので、惜しかったですね。

ライブ後にAさん、Bさんともに話せなかったので、翌日、フォローというか確認のために、Aさんに電話したところ、Bさんからは上記のやりとりがあったことを一つも聞いていないとのこと。焚火ライブに行ったら、なんだか空気が馴染めなかったとのこと。
Aさん、Bさんのチーム内でどうやって進めていくのかは自分が関与する部分ではないけど、飲んでる状態でギリギリに登場するよりは、早めに来て自ら挨拶してまわった方がいいよ!と、年上のミュージシャンとして責任持って伝えました。

以上。

こういう”音楽業界的な姿勢”と”アウトドアイベント”の思い違いをたまに感じるので書いてみます。

<<音楽業界の方へ>>
◆音楽業界は競争社会ですが、アウトドアイベント(アウトドア業界、と言ってしまうと責任持てないので、この言い方)は、共存社会です。自社のアーティストを守るのは、とてもとても大事で当たり前ですが、イキっていくと、噛み合わないことも多いかと!

◆アウトドアの方々は、「この土地、貸してあげるから、自由に使っていいよー」「わーい」みたいなことが平気でできる自給力の優れた人たちです(笑)。なので、音楽的に見たら、無茶振りと思われることもあるかと(今回の焚火ライブのザックリな指示もそう)。なので、ちょっと難しそうだなとか、納得しにくかったら、スパッと断るのもアリだと思います。

しかし個人的には、こうした無茶振りや、自由な発想に、音楽が加わるとその場が何倍も素晴らしいものになるので、そこに対応できる体力(組織としても個人としても)があれば、実現していきたいと考えてます。

◆アウトドア業界(ここは業界)は、プレーイングマネージャーというか、選手兼監督、が多い。
なので、音楽業界のイベントのように、最初にマネージャーが話して調整して、後からアーティスト同士、当事者同士に最終調整してもらう、という流れだと、マネージャーが話した段階で全てが決まってしまい、アーティストが話すタイミングがなく、出番は本番のみになってしまい、主催者の意図を聞いたり、新しい繋がりもできにくいので、打ち合わせにはできるだけ、全ての場所にアーティストも一緒に連れて行った方が良いと思います。さらにいうと、音楽フェスのように与えられた持ち時間を好きにやるのと違って、アウトドアイベントは、主催者の想いも汲んで歌ってあげた方が、イベントとしても良い雰囲気になるので、コミュニケーションを取る打ち合わせの時間を大事にしてあげて欲しいです。

◆アウトドアイベントは、緩そうに見えて、ちゃんとしてます。
スタッフがアルコールを飲んでることもたまにありますが、現場の調整は、先に終わってることが多いのも事実。飲みながら話して決めたりはしてないですね。
言い方あってるかわかりませんが、「緩そうに仕事をするプロ」です(笑)

◆持ち込みのアルコールを片手に、会場をフラフラするのはやめましょう。
まあこれはライブハウスでも同じなので、当たり前かと。
ビールを飲みたければ、会場で買いましょう。
お客さんもそれを見て、あそこに売ってたのか!と思って購入につながります。
ちなみに、、、出店してる仲間から持ち込みの物をもらってしまうことも多々あるのですが、出店者は、出店料を払っているという意味ではイベントのお客さんでもあります。我々、音楽チームは、お金をもらってます。なので、その辺のバランスが少し違うというのも知っておいてもらいたいです。通常営業が終わって、各テントで焚火を囲む時は、とっておきの持ち込んだ飲み物をみんなに振る舞って乾杯してください。笑

緩めすぎてはダメ
甘えすぎてはダメ

です。

◆アウトドアイベントにおける、音楽のその日の最高水準も最低水準も、自分自身になることを自覚しましょう。
これは全てのミュージシャン、出演者に言えること。
音楽フェスなら、複数の出演者がいて、それぞれの音楽の良さをお客さんに伝えてくれますが、アウトドアイベントに出演するのは1日1組とか2組というのもよくある話。なのでお客さんが見比べることもできないし、自分が他を見て焦ることもないので、甘えたらその落ちたパフォーマンスで、お客さんは「こんなもんか」と思って終了。たかが焚火ライブと思った人もいたかもしれないけど、早めに来て準備して、コミュニケーションとって、その場を高めるのは、その日のクオリティを下げないために大事な作業でした。お客さんに「今日、来てよかったー!」と言ってもらいたいのです!

<<アウトドア業界の方へ>>
◆音楽会社への出演依頼は、時間、場所、料金など、シンプルに。
上にも書きましたが、音楽業界は、アーティストの見え方、伝わり方をとても気にかけていて、その音楽を売ることで成り立っているので、曖昧に話をふると、必死になってそれが良いのか、どうにかなるのか、考えてしまいます。しかし、関わる人が多い分、対応の仕方もうまくいかないことがあり、今回のようにお互いや周りの人もストレスになるので、気をつけましょう。

◆シンプルかつ、相談する相手を大事にしながら、音楽業界への参加要請も積極的にぜひ!
矛盾するようですが、アウトドアと音楽が合わさると、効果は絶大なので、ぜひ良い音楽をイベントに招いて欲しいです。アウトドアイベントの宣伝としても、音楽のファン層へのアピールはとても意味があると思います。

◆曖昧な相談、アウトドアならではの世界初の思いつきの相談は、直接話せるアーティストへ(笑)
そのアイディアを聞いて、やってくれるのか、やれるスキルがあるのか、というのは、本人次第なので。
そして、至らない点を、お互いに早めに指摘して、修正しあえることが何より大事!
「面白いこと思いついたんだけど、これってどうでしょう?笑」というトムソーヤ的な発想は、サイコーかと。笑

◆焚火ライブは生音にこだわらないように!
これは音楽業界の話ではないのですが、ついでにお伝え。
焚火の前で歌う、というのは、歌い手にとって、喉への負担が大きいです。
自分もプライベートな時間に焚火の前で歌うことは多々あるんですが、囲んでる人数はせいぜい3〜6人。その人数なら、小さく歌っても聞こえますが、8人以上(距離が2m以上)になると、声を伸ばす調整を、自分の喉でやり続けなければならず、煙を吸いながらのその作業は身体への負担がとても大きいのです、というか、正直つらい。
マイクがあれば、マイクとの距離で調整できるのですが。

今回の焚火ライブでも、当日の直前まで主催者に、規模が大きいなら、小さく音響を入れるのはどうでしょう?と提案していたのですが、なかなか承諾は得られず。

ちなみに、、、
生音の方が雰囲気良さそうに思うかもしれませんが、小さいスピーカー(FISHMANとかBOSEとか)を入れた方が、バラードや女性の声も心地よく聞こえて、音楽に包み込まれるような感覚になりますよ。

焚火ライブを開催する狙いって、おそらく「プライベートで焚火を囲んで仲間が歌ってる」という設定を、多くの人にも体感してもらいたい、という感じだと思うんですが、規模を拡大して作り出している以上、せっかくやるなら、丁寧にセッティングして、しっかり事前告知して、開催してあげて欲しいと思ってます。

<<終わりに>>
飲みにいって伝えるような内容を文字にしたので、すごい長文になりました。汗

繰り返しになりますが願いとしては、【音楽とアウトドアは、合わさると効果絶大なので、ぜひみんなで協力して、お互いの得意分野を活かしつつ、かけがえのない時間を生み出していきたい!】と思っております。

文句だけ言う大人は、大嫌いなので、責任持って提案しつつ、すべて次の現場にも活かします。

Aさん、Bさんともぜひまたお会いしたいし、次は事前にリハーサルもして、ちゃんとセッションしたい。

そして、主催者のアウトドアチームとは、来年も根掘り葉掘り相談&修正しながら、お客さんが「ほんと、来て良かった!」と言ってくれるアウトドアイベントを作りたいです。

<おまけ>
写真は、今回のイベントで僕らのライブの撮影で入ってくれた古賀恒雄の1枚。
ライブよりも3時間以上まえから入って、会場で、ソーセージやマシュマロやお酒を買い、一緒に焚火を囲む。ソーセージ、ほんと美味かったなー!会場や運営スタッフをちゃんとリスペクトしながら楽しむってアウトドアイベントにおいて、超重要。この後の撮影もバッチリでした◎
フランクフルト


<追記(12/20)>
長い投稿を読んでいただき、ありがとうございました。

そうだよねー、という方も、そうでもないよね、という方も、自身の想いを、現場の仲間に丁寧に伝えていけば、また一歩新たに進むかと!

facebookの方にメッセージもいくつかいただいたので、分かりにくい一点だけ、補足させてください。

僕が ”音楽業界” と書いたところは、アーティストがいて、スタッフがいて、楽曲やライブやグッズを販売することで経営している "音楽会社” のことを主に指してます。

音楽やってる人、全員という意味ではありません。
分かりにくくてすみません。

音楽会社では、アーティストは演奏する専門家ですが、見え方や伝わり方を総合的に考える専門家として、プロデューサーやマネージャーがいるので、彼らが対応しやすいように、出演オファーしてあげるのが良い、という意味で書きました。

ちなみに、宮 武弘は、会社としては1人ですが、項目ごとに振る(お願いする)人間が何人かいて、プロジェクトごとに、スケジュールと予算と人同士の組み合わせで、決めて動いてます。先日の焚火クラブのメインステージでは、我がチームは5人。夜の焚火ライブでは、内容が見えないことと、時間が遅くなる心配もあったので、自分以外を帰して、1人で対応。

マネージメントも出来るだけ自分でやってますので、みなさん、今まで通り、大きなフェスも、小さな思いつきも、変わらずにオファーいただければと思います(笑)

その想い、何倍にも膨らませて、一緒に実現しましょうね!
そういうことを、僕は、クリエイティブ、と呼んでます。